ENTRY募集締切 7/8(月)

第一線で活躍する先駆者たちの人生の断片に触れ、その思考を覗き、新しいステップへ繋がるインスピレーション(閃き・刺激)の種を発信するコンテンツ『INSPIRATION』。彼らはどのようにものを考え、自分や目の前に広がる世界と向き合ってきたのでしょうか? 第1回目は、2019年から学展の審査員もお願いしている、「七種諭(さいくさ・さとし)」氏が登場します。

パリを拠点に活躍するフォトグラファー/ギャラリスト/アーティスト。これまで、Vogue Paris, Numero, i-Dなどの世界的ファッション雑誌やEstee Lauder, YSL, Shiseidoなどの有名メゾンの広告撮影などを手掛ける。また著名人のポートレイトも多く撮影しており、アーティストやセレブリティーの間でも高い評価を得ている。2010年には、パリにギャラリー「Da-End」をオープン。ギャラリストを務めながら、自らも作家として創作活動を行っている。

フランス・パリを拠点に世界的に活躍するフォトグラファー、七種諭。2019年度より審査員として学展に参加している同氏は、元々はヘアメイクアップアーティストとして活動していた。ある時「今しかない」と一念発起、フランスのパリでフォトグラファーへ転身したという。
現在は、自身がオーナーを務めるギャラリー「Da-End」を運営し、ギャラリスト兼アーティストとして、その活動の幅を広げている。七種さんがどのように人生を切り拓いてきたのだろうか。

「他人とは違う物、新しい物。違う自分になれる物。そんないろんな物と出会える"モード"の世界がとても好きで。15歳の夏に父が他界して、経済的にも自立をしなければならなくなったのですが、好きな"モード"に関わる仕事をしたいという思いと、人の"顔"自体にも興味があったので、ヘアメイクアップアーティストの道を選びました」。

その後、プロのヘアメイクアップアーティストとなり、雑誌や広告撮影、ファッションショーなどで仕事をしていたが、海外生活への興味が湧き立ち、『今しかない』とフランス・パリへ飛んだという。その時は半年程度の滞在のつもりが、30年を過ぎた今も続いている。「パリに来てからは、純粋にカルチャーショックを楽しんでいましたね。ヨーロッパのいろんな国を訪れて、文化の違いなんかをスナップショットにおさめたりして。フィルムカメラで撮影してたんですが、その頃から友人に教えてもらったりしながら、独学で写真技術を学んでいました」。

ある時、『帽子』を題材にして、海岸にいるスイミングキャップを被ったおじいさん、男友達のハットを被ったポートレート、帽子の静物写真などを収めたポートフォリオを作成し、とあるエージェントに見せることで写真家のしてのキャリがスタートする。「『面白いね、ポートフォリオを預からせて』と言ってくれて。そのことをきっかけに、プロとしてお仕事をいただくようになりました」。写真家としての活動を始めて1年足らずで、『VOGUE ITALIE』の表紙撮影を任される。その後現在に至るまで、VOGUEやELLE,i-Dなどの世界的ファッション誌、Estee Lauder, YSL Perfume & Beauty, 資生堂といった有名ブランドの広告撮影、 Angelina Jolie, Kiera Knightleyをはじめとするセレブリティのコーポレート撮影等、パリを拠点に世界的な活躍を見せている。

Suzu Hirose

Vincent Cassel

Keira Knightley

Ellsworth Kelly

Vanessa Paradis

Kate Moss

Sharon Stone

Willem Dafoe

Louise Bourgeois

Charlotte Gainsbourg

Edward Norton

Ellsworth Kelly

Sofia Coppola

Kate Moss

Roman Polanski

Vincent Gallo

Louise Bourgeois

Anne Hathaway

Angelina jolie

Ewan McGregor

Eva Green

Liv Tyler

Sophie Marceau

Mark Ronson

Philip Johnson

Kobe Bryant

Keira Knightley

Naomi Watts

Venessa Paradis

Jean Reno

Milla Jovovich

Jean Nouvel

Fernando Botero

Nicki Minaj(red) / Rihanna(white)

2010年、パリのサン=ジェルマン地区に、七種氏自らがオーナーを務めるギャラリー『Da-End』をオープンする。従来のギャラリーとは異なり、訪れた人同士のコミュニケーションを重視したコンセプトで、どちらかというと"サロン"に近いスペースだという。ダークトーンがベースの重厚感ある空間は、実験的ではあるが、作品の世界に没入しやすい空間づくりがされている。「クライアントワークから離れて、原点に帰って好きなことができるスペースがあれば、色々な人とコミュニケーションがとれていいなと思ってギャラリーを始めました。アーティストやそれに関わる人たち同士も交流ができる場所にしたかったんです」。

Da-Endで展示を行うアーティストは、じっくりと時間をかけ、作品やアーティストの人柄を理解した上でセレクトしている。「まず視覚的に惹かれる作品かどうかを見る。気に入った作品があれば、作家をギャラリーに招いて顔をあわせて話をします。アトリエにも訪問させてもらって、制作スペースを見せてもらいながら、"どういう人物なのか"を時間をかけて理解します。フィーリングが合えば、グループ展を試してみて、その後個展を開くという流れですね。作家とは長くお付き合いをしていくものなので、人柄やフィーリングが合うかどうかが大切だと思っています」。

「ヨーロッパでは、水曜の午後は学校が休みです。水曜の午後や、週末の時間を利用にして、ピアノやダンス、絵を習いに行ったりするんです。日本では、学校の音楽や美術の時間は削減され、放課後にわざわざ学校の勉強をしなおすかのように、塾へ行くシステムですよね。ヨーロッパでそういう仕組みがあるところは、ほとんどないのではないかと思います。私は、音楽、美術、文学などが、奥行きのある人を作ると思ってるので、やはりヨーロッパは文化に対する考えに、のりしろが広いという感想を持ちますね。学展には、日本の教育システムではできない部分の、開かれた幅広い活動を行なってほしいと思っています」。

これからの学展について聞くと、こう答えてくれた。「現在のシステムに加えて、新しい発表、展覧会の機会を作ってはどうでしょう? テーマを決めた展覧会、東京だけでなく地方都市での開催、パリなど国外での展覧会とか。文化の違いなどを情報として理解するのも大切だと思いますが現在の情報過多の中でこそ、特に人と人の交流の大切さと、実際に他の国、土地、自然、環境、文化の違いなどを実体験するのは大きなインパクトがあるのでないでしょうか? その経験は改めて自国の自然、文化の重要さ、大切さを理解することにもなるかと考えます」。

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