自分なりの「百鬼夜行」を探る
- ─ 学展大賞の受賞、おめでとうございます。多くの応募作品が油絵で色鮮やかに描かれているなか、ボールペンや墨など黒一色で描かれた作品が受賞したのは、意外な印象でした。
- 賞はもらえないだろう、と思っていたので驚いています。いままで学展で入賞してこなかったような絵を描きたいな、と思っていたので、「大ひんしゅく」を覚悟で応募しました。
- ─ 「百鬼夜行」といえば、古くから説話などに扱われてきた題材です。どうして、その妖怪を描いたのですか。
- まず、この絵は落書き感覚で描こうと思ったんです。そう思ったときに妖怪が頭に浮かびました。はじめに妖怪「おとろし」を描き、そこからどんどん、下書きせずに増やしていきました。
- 昔に描かれた「百鬼夜行」を見ていると、たとえば江戸時代の「海坊主」は真っ黒で不気味ですが、ほかの時代に描かれたものには船を持ったかわいらしい姿もある。時代と一緒に妖怪のビジュアルも変わっていくのかな、と。モデルにした妖怪はいますが、自分なりに考えて描いていきました。
- ─ この作品は部活の時間に描かれたそうですね。美術部の先生はどんなアドバイスをされていましたか。
- 基本的には生徒の自由にさせてくれるので、先生はアドバイスというより感想をくれました。でも、今回「ボールペンで描いたらどうか」と提案してくれたのは先生です。