一年程前まで、絵を描くことに強い苦手意識があったという山本さん。特に学校の授業で求められるような模写に対して抵抗があり、どちらかというと絵を描くことは嫌いだったそう。縁があって、絵画教室ホットクレヨンの浅野先生のもとへ通うようになってから、絵を描く楽しさに気づき、今回初めて学展へ出展。見事、中学部のGAKUTEN芸術最優秀部門賞を受賞した。

山本さんの作品づくりのこだわりは、「模写をしない」ということ。絵画教室に通ってからも、自身のそのこだわりを徹底し、本作も自分の思うまま、自由に、楽しく制作した。作品のテーマは、広大で目に見えないものを表現したいという理由で、『宇宙』を選んだ。「今回描いている地球の色も、実際の地球の色とされている青色にすると、ただ実際の地球を写してるだけになると思ったので、あえて赤色で塗りました」。

本作を仕上げるにあたって、特にこだわったのは質感の表現だ。「地球には、クラックという表現を取り入れています。思い描いたようにヒビを入れることができたので、とても気に入っています。あと天の川の表現に、砂を入れて質感を出した点もこだわりました」。

今後の制作への意気込みを尋ねると「自分の知らない技法を学びながら、これからも、自分なりの絵を描いていきたい」と、笑顔で語ってくれた。