74th GAKUTEN WINNER INTERVIEW
第74回 学展 受賞者インタビュー
8/18(日)まで『国立新美術館』(東京・六本木)で開催された第74回 学展作品展。今年も幼少部から一般部まで、幅広い年代の出展者による個性豊かな作品が会場を彩った。期間中に開催された表彰式では、審査員による審査報告や賞状授与、また作品展のコンセプト『世界を変えろ』をテーマにしたインタビュー動画も上映された。表彰式にも参加した各部門の上位受賞者4名に、出展作品や今後のアート制作に対する思いをうかがった。
小学部
入賞
渡邊結月
WORK TITLE
絆のリボン
渡邊さんの作品「絆のリボン」は、小学校の入学式で、6年生からクラスカラーのリボンをつけてもらう様子を描いたもの。自身が1年生のときにもらった水色のリボンは、彼女の6年間の学校生活で育んできた、先輩、友達、先生方との深い絆の象徴なのだそう。「今年小学生の最高学年となり、かわいい1年生を迎える側になった気持ちと、6年生のお姉さまが緊張した私に声をかけてくれて安心した時の1年生の頃の気持ちとを同じキャンパスに収めたいと思い、入学式にお姉さまからクラスカラーのリボンをつけてもらう様子を絵に描きました。卒業を意識するようになり、絵を通じて、感謝の想いを学校や恩師に伝えたい、と思い描き始めました」。
制作にあたり、渡邊さんが特にこだわったのは色彩。「リボンをつけてもらったときの感情を思い出しながら、これからの希望を感じさせる色合いにすることにこだわりました。締め切りギリギリまでキャンパスに好きな色を出すために、何度も絵の具を重ねることに健闘しましたが、それ以上に夢中で筆を走らせることが楽しかったです」。また背景の色彩豊かな表現は、ゴッホの『星月夜』からインスピレーションを得たもの。星月夜の空のようにリボンに光を寄せているようにしたそう。
作品のお気に入りのポイントは、平和で温かな雰囲気で全体が彩られているところ。「リボンをつけるというシンプルなことではありますが、私にとってはとても心温まる出来事だったので、言葉で言い表せられない分、絵で嬉しかった昔と今の感謝の気持ちを明るい色合いで描けたところがこの絵の中でも特に気に入っています」。
今後の夢については、「初めてコンクールに絵を出展し、自分の絵を審査員の方々のような芸術が大好きな人に認めてもらえたことが何よりも嬉しかったです。私の絵でより多くの人の笑顔が増えるように、絵に真剣に向き合い、取り組み、同じ志を持つ仲間と共に好きなことを仕事にしたい、という気持ちが強くなっていきました。とても高い目標にはなりますが、今は、藝大に行って絵を学びたいです。まだ明確にやりたい仕事があるわけではないけれど、大きな夢という目標を掲げることで、もっと自分の作品に自信を持てるようになり、楽しく夢中で作品を制作することが私の夢です」と語ってくれた。