75th GAKUTEN WINNER INTERVIEW
第75回 学展 受賞者インタビュー
8/17(日)まで『国立新美術館』(東京・六本木)で開催された第75回 学展作品展。今年も幼少部から一般部まで、幅広い年代の出展者による個性豊かな作品が会場を彩った。期間中に開催された表彰式では、審査員による審査報告や賞状授与、また作品展のコンセプト『他者を想像する』をテーマにした特別映像企画のドキュメンタリー作品や審査員のインタビュー動画も上映された。表彰式にも参加した各部門の上位受賞者4名に、出展作品や今後のアート制作に対する思いをうかがった。
大学・専門部
牧正大 審査員賞
伊東凜


WORK TITLE
無関心
毎朝の通学電車に乗るときの憂鬱さや、繰り返される毎日の疲労を描いた本作。テーマは「現代に生きる人々はスマホに夢中で、現実世界に無関心であること」。作者自身も通学で電車を利用しており、その体験からアイデアを得て制作したという。
「鑑賞者にスマホに注目してほしかったので、持っている“手”を一際大きく描きました」と語るように、作品で最もこだわったのはスマホを持つ手の表現。また「中央に立っている男性の足元で俯いているアヒルが特に気に入っています。憂鬱そうな表情を描けて満足しています」とも話す。
今回の制作に影響を与えたのはマルク・シャガール。作者は「初めて2年連続で同じテーマで作品づくりをしました。1年目は高校生だった自分が見た電車内。今年は大学生になり、対象が学生から社会人に変わりました。作品は自分の心の写し鏡だと思っています。来年の作品も、ありのままの自分と向き合い挑戦したいです」と振り返る。
将来については、「人の役に立てる存在になりたいです。私はシャガールの絵を見て、次のアイデアが浮かんだり、悩んでいるときに慰めてもらったことがあります。今度は私の絵で誰かの役に立てたら嬉しいです」と語ってくれた。